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ガス代滞納 in summer 

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殿町スナック・ガールズバーconcept bar Citron(コンセプトバーシトロン) の2025年9月4日写メブログ「ガス代滞納 in summer」

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deco


みなさん!!!見てください!!!恐ろしいものが届きました!!!!😻😻😻


どうやら払い忘れたガス代を8日までに払わないとガスが止められてしまうそうです。そんなことになったら冷水シャワー生活⁉️⁉️地獄のシャワー⁉️⁉️そんな恐ろしすぎることはなんとしても回避したい‼️‼️


私は決して払えないのではなく"払い忘れた"のです‼️‼️

はあ………ガスが止まっちゃったら生活ができませんね。払いに行k……って⁉️⁉️手持ちが少なすぎて払えませんわ⁉️⁉️⁉️お財布には僅か2枚の野口英世……


英世‼️😭私にエンジェルを入れてガス代を払わせて⁉️


という訳にも行かないのでお金を増やしたい時はパチ屋に行きましょう。


靴を履く。鍵をかける。階段を降りる。街路樹の葉が遠くで揺れる。私は、第2の家へ向かう。自動ドアが開くたび、光と音が波のようにこちらへ寄せては返す。金属の匂い、消毒液の匂い、熱気。ここでは確率が目に見えない肺でゆっくり呼吸をしている。


空いた台に腰を下ろす。助けて⁉️ジャグラー。呼吸を整える。ポケットの中で、請求書の角が太ももにささる。痛みは小さいが、現実は充分だ。
傍目には遊びに見えるだろう。だが私にとってここは、月末という怪物に対抗するための現場だ。家賃、カード、光熱。数字は容赦がない。何度、この回転する物体に救われたことか。


野口を一枚、サンドに通す。供物のように静かに。
手のひらの汗をズボンで拭い、レバーの縁をなぞる。金属は冷たい。私の体温と、この場所の温度が、ほんの少しだけずれる。


レバーオン。リールが走る。図柄は小さな天体のように巡り、光が縫い目の間から滲む。音が遠のき、心臓だけが近づく。世界は細く、一本の糸になる。


この瞬間、世界は二分される。
火が点くか、止まるか。
生活が続くか、軋むか。
祈りは役に立たないと知りながら、祈りだけが手元に残っている。




来い——

𝑩𝑰𝑮 𝑩𝑶𝑵𝑼𝑺______





ガス代を払えることを祈って必死に戦った。

しかし光は来なかった。

ランプは沈黙したまま、音だけが軽く跳ねて、私の指先を素通りしていく。小役でわずかに延命する時間は、点滴のように細い。コインは受け皿の底を鳴らし、最後の一枚は吸い込まれそこで世界が止まった。

静かだ。

外へ出る。風はぬるく、ポケットの中の請求書は曲がったまま沈黙している。英世はもういない。数字だけが残っている。
駐車場まで歩く間、アスファルトは昼の熱を薄く残し、白線は乾いた骨のようだ。車に乗り込み、ドアを閉める。ひとつ深呼吸。天井灯が狭い室内を白く満たす。

スマホをホルダーに固定し、アプリを開く。
——アコム。
ID、パスワード、二段階認証。見慣れたマイページ。利用可能枠。
「借入」
金額のスライダーをわずかに動かし、「実行」に触れる。ほんの一拍の無音。

そして、赤い文字。
「現在、サービスのご利用を一時的に停止しております」

空調の風が一段強くなった気がした。実際は何も変わっていない。
画面を閉じると、狭い車内の静けさが増幅される。メーターの針だけが、無傷の基準に立っている。

私はスマホを裏返し、天井灯を消す。暗がりの中で、代わりの橋を探す。
友だちの名前がひとつ、またひとつ、浮かんでは沈む。
迷惑、という二文字が重く、しかし冷水の刃のほうが重い。私はスマホを表に戻し、LINEを開く。
電話はまだ早い。まずは文字だ。夜は言葉を細くする。

メッセージ欄に、いくつかの文が生まれては消える。
「急でごめん」「ほんの少しでいい」「来週には返せる」
言い訳と事実の境目を探して、余分を削る。
私は簡素に書く。
「今夜、どうしても支払いが必要で、少しだけ貸してほしい。来週に必ず返す。」

送信ボタンの上に、指がしばらく浮かぶ。
重い手つきでボタンを押す。何度もこのようなメッセージを送信しているのにいつまで経ってもこの要件の送信ボタンはアフリカゾウよりも重い。

世界のどこかで、電波が夜空を渡っていく。

返事を待つ間、呼吸を数える。四つ吸って、四つ止めて、四つ吐く。
今日のリールはまだ惰性で回り、外れ図柄が規則正しく巡る。
——負け、借入停止、お願い。
並べると、どれも短い。胃に落ちるまでだけが、長い。


——ピン。

スマホの通知が狭い車内に鳴り響く。


「わかった。いくら必要?今なら振込できる」

指先が少し震える。必要額と口座を送る。文字は現実へと形を獲り、数分後、通知が二つ届く。入金、そして「また困ったら早めに言ってね」という一行。

私は礼を返し、スマホを置く。

借りたのは額面だけじゃない。信頼と、時間だ。
青になり、私は進む。街灯が等間隔に後退し、フロントガラスの向こうに家路が一本、まっすぐ伸びている。

冷水の刃は、今夜はまだ鞘の中だ。
私はハンドルを少しだけ強く握り、心の中でひとつだけ約束を増やす。
——来週、必ず返す。
火のある台所を思い浮かべながら、私は家へ向かう。

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